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子宮内膜症を放置しない理由(わけ)

子宮内膜症を放置してはいけない理由(わけ)

子宮内膜症を放置すると危険!リスクと早期対策

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮外で増殖する疾患です。以前は骨盤内の臓器に限定された婦人科疾患とされていましたが、最近の研究により、全身に影響を及ぼす慢性炎症性疾患であることが明らかになっています。

生理のたびに寝込んだり、鎮痛剤が手放せなかったり、「生理ってこんなもの」って諦めていませんか?

もしかしたら、そのつらい症状の裏には「子宮内膜症」という病気が隠れているかもしれません。

この病気は、10代〜20代の若い女性にも多く、日本の女性の10人に1人が抱えていると言われるほど、決して珍しいものではありません。

「ただの生理痛でしょ?」と軽く考えられがちですが、放置すると痛みだけでなく、将来の妊娠や、全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。

でも、安心してください。 早く気づいて適切な治療を始めれば、そのリスクは大きく減らすことができます。

このページでは、なぜ子宮内膜症を放置してはいけないのか、そして治療によってどんな未来が拓けるのかを、信頼できる世界の研究データをもとに、分かりやすく解説します。

子宮内膜症を放置すると起こるリスクと対策

そもそも子宮内膜症ってどんな病気?

簡単に言うと、子宮の内側にあるはずの組織(子宮内膜)が、なぜか子宮の外(卵巣、お腹の中など)にできてしまう病気です。

この“家出”した組織も、本来の子宮内膜と同じように生理のたびに出血しますが、体の外に出ることができず、お腹の中に溜まっていきます。これが慢性的な炎症や痛みを引き起こし、周りの臓器がくっついてしまう「癒着(ゆちゃく)」の原因になります。 この「慢性的な炎症」が、全身に様々な影響を及ぼすキーワードになります。

【放置はキケン!】子宮内膜症がもたらす5つのリスク

リスク1:痛みがどんどんひどくなる → 日常生活が楽しめない!

生理痛はもちろん、生理期間以外にも下腹部痛、腰痛、排便痛、性交痛など、様々な痛みに悩まされるようになります。炎症や癒着が進むと、痛みは年々悪化していく傾向があります。

「また痛くなるかも…」という不安から、授業に集中できなかったり、アルバイトや友人との予定をキャンセルしたり。そんな経験はありませんか?

【でも、治療すれば…】 子宮内膜症の治療(ホルモン療法など)によって、痛みが大幅に改善し、生活の質(QOL)が向上することは、数多くの研究で証明されています。ある大規模な研究レビューでは、治療薬を服用したグループは、偽薬(プラセボ)を服用したグループに比べて、骨盤の痛みが有意に減少したと報告されています¹。 つまり、治療によって「痛み」という大きなストレスから解放され、勉強やプライベートを思いっきり楽しめるようになります。

リスク2:将来の妊娠に影響が出る(不妊症)

子宮内膜症は、不妊症の主要な原因の一つです。卵管が癒着して卵子の通り道を塞いでしまったり、卵巣に“チョコレートのう腫”という血の塊ができて卵子の質を低下させたりすることで、妊娠しにくくなります。 実際に、子宮内膜症の女性の30〜50%が不妊に悩んでいるとされています。

【でも、治療すれば…】 特に手術(腹腔鏡)によって病巣を取り除いたり、癒着を剥がしたりすることで、その後の妊娠率が向上することが複数の研究で示されています。ある代表的な研究では、軽症の子宮内膜症の女性が手術を受けた場合、受けなかった場合に比べて妊娠率が約2倍に高まったと報告されました²。 今すぐの妊娠を考えていなくても、将来のために「妊娠しやすい体」を準備しておくことは、とても大切なことです。

リスク3:心臓や血管の病気のリスクが高まる

「婦人科の病気が心臓に?」と驚くかもしれませんが、近年の大規模な研究で、子宮内膜症を持つ女性は、そうでない女性に比べて心筋梗塞や狭心症といった心血管疾患のリスクが1.5倍以上高まることが明らかになりました³。

これは、体内で常に続いている「慢性的な炎症」が血管を傷つけ、動脈硬化を進行させてしまうためと考えられています。

【でも、治療すれば…】 子宮内膜症の根本原因である**「炎症」を治療によってコントロールすること**が、長期的に血管を健康に保ち、将来の心血管疾患のリスクを低減させる可能性があると期待されています。実際に手術によって病巣を取り除いた後、動脈硬化に関連する指標が改善したという報告もあります⁴。

リスク4:知らないうちに血液がドロドロに(脂質異常症)

健康診断で気になる「悪玉(LDL)コレステロール」。子宮内膜症の女性は、この悪玉コレステロールや中性脂肪が高くなり、善玉(HDL)コレステロールが低くなる「脂質異常症」のリスクが高いことが複数の研究で指摘されています⁵。

これも慢性炎症が肝臓での脂質代謝のバランスを崩してしまうことが一因と考えられています。

【でも、治療すれば…】 治療によって体内の炎症レベルを下げることが、乱れた脂質代謝を正常な状態に近づける助けになると考えられています。痛みなどの自覚症状だけでなく、血液の中身まで健康な状態に導いてくれるのです。

リスク5:卵巣がんのリスクが少し上がる

子宮内膜症、特に卵巣にできる「チョコレートのう腫」がある場合、卵巣がん(特に明細胞がん、類内膜がん)を発症するリスクが、健康な人に比べてわずかに上昇することが知られています。

もちろん、子宮内膜症の人が必ずがんになるわけではありません。リスクの上昇はわずかですが、ゼロではないということを知っておく必要があります。

【でも、治療すれば…】 子宮内膜症の治療によく使われる低用量ピル(LEP製剤)などのホルモン療法には、卵巣がんのリスクを低下させる効果があることが、長年の大規模な研究で確立されています⁶。治療は、今ある症状を和らげるだけでなく、将来の病気のリスクを下げる「お守り」のような役割も果たしてくれるのです。


「もしかして?」と思ったら、婦人科で相談を!

以下の項目に1つでも当てはまるなら、一度婦人科で相談してみることをお勧めします。

  • 生理痛がだんだんひどくなってきた

  • 鎮痛剤を飲んでもあまり効かない、または飲む量が増えた

  • 生理のとき以外にも下腹部や腰が痛むことがある

  • 生理のとき、お尻の奥が痛んだり、排便時に痛みを感じたりする

  • 性交時に痛みを感じることがある

  • 親や姉妹に子宮内膜症の人がいる

婦人科は、妊娠した人だけが行く場所ではありません。あなたの心と体の健康を守る、頼れるパートナーです。まずは勇気を出して相談してみてください。

まとめ:つらい生理痛は「当たり前」じゃない

子宮内膜症は、放置すれば痛みや不妊だけでなく、心臓病やがんなど、将来の全身の健康に関わる病気のリスクを高める可能性があります。 しかし、早期に適切な治療を受けることで、これらのリスクを大きく減らし、自分らしい毎日と未来を守ることができます。

あなたのその痛みは、「体質」や「我慢が足りない」せいではありません。 自分の体を大切にし、専門家の力を借りることで、より快適な学生生活、そしてその先の人生を送ることができます。


【参考文献】

  1. 痛み・QOLの改善について: Brown J, et al. "Gonadotropin-releasing hormone analogues for pain associated with endometriosis." Cochrane Database of Systematic Reviews, 2010.

  2. 不妊への効果について: Marcoux S, et al. "Laparoscopic surgery in infertile women with minimal or mild endometriosis." The New England Journal of Medicine, 1997.

  3. 心血管疾患リスクについて: Mu F, et al. "Endometriosis and risk of coronary heart disease." Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes, 2016. (解説:約11万人の女性を20年間追跡した大規模な研究で、子宮内膜症と心疾患リスクの関連を明確に示しました。)

  4. 心血管リスクの治療による改善可能性: Santoro L, et al. "The impact of endometriosis and its surgical treatment on the cardiovascular risk profile of women." Human Reproduction, 2021.

  5. 脂質異常症リスクについて: Santamaria X, et al. "The link between endometriosis and dyslipidemia." Human Reproduction Update, 2021. (解説:これまでの複数の研究を統合・解析し、子宮内膜症と脂質異常症の関連を結論付けた信頼性の高いレビューです。)

  6. がんリスクの低下について: Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancer. "Ovarian cancer and oral contraceptives: collaborative reanalysis of data from 45 epidemiological studies..." The Lancet, 2008.

あなたの健康と未来のために、今行動しましょう。

これらのリスクや疾患について子宮内膜症の治療を行うことにより、リスクの軽減や影響を低下させることが期待できます。

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