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子宮頸がん検診で「ASC-US」と言われたら?
HPV感染との関係と受けるべき次の検査

子宮頸がん検診の「ASC-US」とは?

子宮頸がん検診は、子宮の入り口(子宮腟部)の細胞をブラシ等でこすり取り、顕微鏡で形を調べる検査です。

細胞に異常が見られる場合、その程度によって「ASC-US」「LSIL」「HSIL」などに分類されます。

その中で「ASC-US(アスカス)」とは、細胞の形は正常ではないものの、ただちに「異形成(がんになる手前の状態)」とは診断できないグレーゾーンな状態を指します。 がんが強く疑われる所見ではありませんので安心してください。しかし「異形成の可能性」は否定できないため、さらに詳しく調べる必要があります。

※ASC-US (Atypical Squamous Cells of Undetermined Significance)=意義不明な異型扁平上皮細胞 と訳されますが、難しい言葉ですね。

数字で見るASC-US|どんな判定で、実際に何が見つかるのか

ASC-USという結果を受け取ると、「自分だけが引っかかったのでは」「がんが隠れているのでは」と感じてしまう方が少なくありません。実際の数字を見ると、そのどちらでもないことがはっきりします。まず結論から示します。

・ASC-USは、検診で異常を指摘された方のうち約35%を占める、もっとも軽い側の判定です。

・ASC-USの方のうちハイリスクHPVが見つかるのは約3〜5割で、残りの方は異形成の可能性が極めて低いと判断できます。

・組織診まで進んだ場合でも、治療を検討する段階(CIN2以上)は約6%、浸潤がんは0例でした。

①子宮頸がん検診で異常と判定された方の約3人に1人がASC-US

東京都予防医学協会が公表している2023年度の行政検診(東京都内・208,682人)では、何らかの異常を指摘された方は4,931人でした。

42人に1人が「異常」という結果を受け取っていることになります。

その4,931人のうち、多かったのは次の2つです。

・軽度扁平上皮内病変(LSIL):1,958人(39.7%)
・ASC-US:1,726人(35.0%)

この2つで、異常と判定された方の4分の3(74.7%)を占めます。

つまりASC-USは、異常と言われた方の中でもっとも軽い側の判定でありながら、3人に1人が受け取るごくありふれた結果だということです。

検診を受けた方全体に対するASC-USの割合は0.83%。ただしこの数字は、年齢によって大きく変わります。

☝️【年齢別】ASC-USと判定される割合(2023年度・行政検診)

・24歳以下:1.79%(約56人に1人)
・25〜29歳:1.50%(約67人に1人)
・30〜34歳:1.18%(約85人に1人)
・35〜39歳:1.00%(約100人に1人)
・40〜54歳:0.9%前後(約110人に1人)
・55歳以上:0.5%以下

若い世代ほどASC-USと判定される率が高く、20代では50〜60人にひとりが該当します。

また、職域健診や人間ドックなどの任意型検診では全体で1.98%(約50人に1人)と、行政検診よりさらに高くなります。

② ASC-USのうちハイリスクHPVが見つかるのは3〜5割

同協会の精密検診センターでは、2023年度にASC-USの方247件にハイリスクHPV検査を実施し、陽性は84件(34.0%)でした。

HPV陽性率は年齢によって大きく変わります。米国の大規模試験(ALTS)では、29歳以上のASC-USでHPV陽性となったのは31.2%でしたが、それより若い年齢では65%を超えていました。若い方ほど陽性になりやすく、その多くは免疫の力で自然に消える一過性の感染です。

裏を返せば、ASC-USと言われた方の3人に2人はHPV陰性で、その時点で異形成の可能性は極めて低いと判断できます。ここを確かめるために、二次検査としてHPV検査を行います。

③ 組織診まで進んでも、CIN2以上は約6%/浸潤がんは0例

HPV陽性の場合は、確定診断のために子宮頸部組織診(精密検査)を行います。同協会の2023年度のデータでは、精密検査時の細胞診がASC-USだった352例の組織診の結果は、CIN1(軽度異形成)131例、CIN2(中等度異形成)20例、CIN3(高度異形成)2例でした。

すなわち、治療を検討する段階であるCIN2以上は22例(6.3%)にとどまり、浸潤がんは1例も見つかっていません。異形成が見つかった方を全部合わせても43.5%で、残りの半分以上は「良性(異形成なし)」という結果でした。

米国のデータでは、ASC-USでHPVが陰性だった方が5年間にCIN3以上と診断される割合は0.44%、陽性だった方では6.8%でした。HPV陰性であれば1年後の検診でよいとされているのは、この差が根拠です。

■ ASC-USの数字まとめ

項目

割合  

根拠となるデータ(母数)

検診で何らかの異常を指摘される人

2.36%

東京都予防医学協会 2023年度・行政検診(4,931人/208,682人)

そのうちASC-USが占める割合

35.0%

同上(1,726人/4,931人)。LSILと合わせて74.7%

検診でASC-USと判定される人

0.83%

同上(1,726人/208,682人)※ただし年齢により差がある

ASC-USでハイリスクHPVの陽性率

34.0%

同 精密検診センター 2023年度(84件/247件)。米国の大規模データでは48%

組織診でCIN2以上の確率

6.3%

同 精密検診センター 2023年度

ASC-USとHPV感染の関係 - なぜHPV検査に進むのか

☝️ここが一番の重要ポイントです!

子宮頸がんのほぼ100%は、「ハイリスク型HPV」の持続感染が原因です。子宮頸部の細胞はHPVに感染すると、細胞質や核の形がわずかに変化します。検診で行う細胞診は、この変化を顕微鏡で探す検査です。

ただし、細胞の形が変わる原因はHPVだけではありません。腟炎などの炎症でも似た変化が起こるため、顕微鏡の検査では次の2つの区別がつかないことがあります。

1️⃣ 炎症などによる、心配のいらない変化
2️⃣ HPV感染による、異形成につながりうる変化

細胞診は、細胞検査士がすべての標本を確認し、疑わしいものを細胞診専門医が改めて判定する二重チェックで行われます(当院院長も日本臨床細胞学会の細胞診専門医です)。その専門医の目で見ても、形だけでは原因を決めきれないことがあり、そのときに付く判定がASC-USです。

つまりASC-USは、「異常が見つかった」でも「がんの疑いがある」でもありません。細胞の形を見る検査では結論が出なかった、という段階を表す判定です。

形で見分けられないのなら、変化の原因そのものを調べれば答えが出ます。そこで次に行うのが、ハイリスク型HPVに感染しているかを直接調べるHPV検査です。細胞診と同じ方法で採った細胞を、まったく別のものさしで調べ直すことになります。

ASC-USと判定されたら行う「二次検査(HPV検査)」

ASC-USと判定された場合は、先に述べたように、ハイリスク型HPVに感染しているかどうかを調べる「二次検査(HPV検査)」を行います。ここからは、実際にどのように調べるのかをご説明します。

HPV検査の方法

子宮頸がん検診と同様に、子宮の入り口をブラシでこすって細胞を採取します。がん検診は顕微鏡で人間の目で検査しますが、HPV検査は専用の検査機器を使ってハイリスク型HPVの有無を正確に調べます。

HPV検査の結果と次のステップ
HPV検査の結果       今後の対応・治療方針
陽性(検出された)さらに詳しく調べるため、「子宮頸部組織診」を行います。
陰性(検出されなかった)異形成の可能性は極めて低いため、「1年後の子宮頸がん検診再検査」となります。

HPV陽性の場合に行う「子宮頸部組織診」とは?

HPV検査で陽性となった場合は、確定診断のために「子宮頸部組織診(精密検査)」を行います。

  • 検査時間: 5分ほどで終了します。

  • 痛み・注意点: 痛みはほとんどありませんが、組織を少し採取するため、術後に多少の出血があります。ご来院の際はナプキンをご持参いただくと安心です。

ℹ️ 子宮頸部組織診について詳しいページ

▶ 子宮頸がん検査(子宮頸がん検診)とは?何をする検査か、痛み・費用・結果まで解説ページの「細胞診と組織診は何が違うのですか」をご覧ください。

受診される方へ|ASC-USは決して怖い状態ではありません

子宮頸がん検診で「ASC-US(要精密検査)」と書かれていると、怖くなってしまう方も多くいらっしゃいます。しかし、現時点で「がん」が見つかったわけではありません。

大切なのは、放置せずにしっかりと二次検査を受けることです。

当院では、予約不要で二次検査(精密検査)を受け付けております。ご都合のよい時間にご来院ください。

参考文献・出典

1)公益財団法人東京都予防医学協会「東京都予防医学協会年報 2025年版(第54号)」/東京産婦人科医会との協力による子宮がん細胞診・子宮がん精密検診センターの実施成績(2023年度データ)

2)Demarco M, et al. Risks of CIN 2+, CIN 3+, and Cancer by Cytology and Human Papillomavirus Status: The Foundation of Risk-Based Cervical Screening Guidelines. J Low Genit Tract Dis. 2017;21(4):261-267.

3)Sherman ME, et al. Effects of Age and Human Papilloma Viral Load on Colposcopy Triage: Data From the Randomized ASCUS/LSIL Triage Study(ALTS). J Natl Cancer Inst. 2002;94(2):102-107.

4)日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」CQ203(ハイリスクHPV検査はどのような場合に使うか?)