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不正出血

不正出血とは?年齢別の原因・危険な症状・受診の目安

最終更新:2026年7月12日

不正出血とは?茶色・鮮血・少量の出血も含みます

不正出血とは、生理以外に起こる性器からの出血で、鮮血や茶色い出血、点状の少量出血として現れます。

不正出血の原因は年齢によって異なります。10代では排卵機能の未熟性、20〜30代では妊娠・感染症・子宮頸部の病変、40代以降では排卵障害に加えて子宮内膜ポリープや子宮体がんなども考える必要があります。

特に妊娠の可能性がある出血、大量出血や強い腹痛を伴う場合、閉経後の出血は早めに婦人科を受診してください。

【まず確認】すぐに婦人科受診すべき不正出血のリスト

⚠️ 危険なサイン・受診の目安 チェックリスト

☐ 閉経後(1年以上月経がない)に、一度でも出血があった

☐ 妊娠の可能性がある、または妊娠中に出血があった

☐ 出血に、我慢できないほどの強い腹痛や発熱を伴う

☐ 出血量が非常に多い(例:昼用ナプキンが1時間もたない)

☐ 出血が2週間以上ダラダラと続いている

☐ 性交渉のたびに出血する

☐ めまい、立ちくらみなど、貧血を疑う症状がある

☝️リストに当てはまるものがあれば、モヤモヤした不安な気持ちで過ごすより、すぐに診察を受けましょう。

年代別比較:主な原因・見逃せない病気・検査

不正出血は、同じ症状でも年代によって考える原因と優先する検査が異なります。まず全体像を比較し、その後の年代別解説で詳しく確認してください。

年代

よく考えられる原因

見逃してはいけない原因

主な検査

10代

無排卵・ホルモン調節機能の未熟性

妊娠(可能性がある場合)、凝固異常、甲状腺疾患

ホルモン検査、貧血検査、必要に応じて超音波検査

20〜30代

排卵異常、妊娠に関連する出血、頸管炎

異所性妊娠、子宮頸部病変

妊娠反応、ホルモン検査、超音波、感染症検査

40代〜閉経前

排卵障害、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫

子宮内膜増殖症、子宮体がん

超音波、必要に応じて子宮頸部・子宮内膜検査

閉経後

腟・子宮内膜の萎縮、子宮内膜ポリープ

子宮体がん、子宮頸がん

おりもの検査、超音波、必要に応じて子宮内膜検査

※表は一般的な目安です。実際に行う検査は、妊娠の可能性、出血量、痛み、既往歴、診察所見などに応じて選びます。

いつもと違う出血があったら検査を受けることが大切です。

☝️ 不正出血はありふれた症状ですが、その背景は年齢によって大きく異なります。

ご自身の年齢で考えられる原因や検査・治療法を正しく理解し、体からのサインを見逃さず、適切なタイミングで受診することが、健康で安心な毎日を送るための鍵となります。

不正出血の主な原因を知る4つの分類

「生理じゃないのに血が出た」その出血は、あなたの体が発している何らかのメッセージです。

原因を正しく知ることが、不安解消への第一歩です。

ここでは、患者さんに分かりやすいよう、主な原因を次の4つに整理します。このほか、薬剤、血液凝固異常、外傷などが原因となることもあります。

排卵・ホルモンの変化による出血(機能性出血)

不正出血の原因の一つです。ストレスや寝不足、急なダイエットなどが排卵やホルモン分泌に影響し、出血につながることがあります。

一時的なこともありますが、長引く場合や量が多い時は、病気の有無を確認したうえで、必要に応じて薬で出血をコントロールします。

体の正常なリズムによる排卵期の出血(中間期出血)

生理と生理の中間(排卵期)に、ホルモンの変動に伴って数日間の少量出血が起こることがあります。多くは生理的なものですが、出血だけで排卵期出血と断定することはできません。

数日でおさまり、その後に通常の月経が来る場合は排卵期出血の可能性があります。

☝️ただし、出血が続く、繰り返す、量が多い場合は、ほかの原因も確認する必要があります。

疾患によるSOSの出血(器質性出血)

子宮頸管ポリープ、子宮筋腫などの良性の病気や、子宮頸がん・子宮体がんなどが原因となっているケースです。

「だらだら続く」「性交渉のあとに出血する」といった症状は、体が発するSOSの可能性があります。見逃さず、早急な検査をおすすめします。

妊娠の可能性を知らせる出血(妊娠に関連する出血)

性交渉がある場合、まず確認したいのが妊娠の可能性です。

妊娠初期には少量の出血がみられることもありますが、出血の時期や量だけで正常な妊娠かどうかを判断することはできません。切迫流産や、放っておくと危険な異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性もあるため、妊娠の可能性がある場合は早めにご相談ください。

不正出血で行う主な検査

すべての検査を一律に行うのではなく、年齢、妊娠の可能性、出血の状態、診察所見に応じて必要な検査を組み合わせます。

問診・診察:出血が始まった時期、量、色、月経周期、痛み、性交後出血などを確認します。

妊娠反応検査:妊娠の可能性がある場合に行います。検査時期が早いと陰性になることがあるため、必要に応じて再検査します。

超音波検査:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜の厚さ、卵巣の状態などを確認します。

感染症・おりもの検査:頸管炎や腟炎、性感染症が疑われる場合に行います。

子宮頸部・子宮内膜の検査:年齢、症状、超音波所見、リスク因子に応じて、細胞診や組織検査を行います。

血液検査:出血量が多い場合は貧血を調べ、必要に応じて甲状腺機能やホルモンなどを確認します。

年代別の詳しい解説:原因・検査・治療

▶️ 思春期(10代)の不正出血:主には未熟なホルモンが原因

▶️ 性成熟期(20代・30代)の不正出血:妊娠、ホルモンによる出血など多様な原因

▶️ 更年期移行期(40代から閉経前)の不正出血:一番不正出血が発生しやすい年齢

▶️ 閉経以降の不正出血:注意が必要な病気を除外することが大切

▶️ 不正出血に関するよくある質問(FAQ)

思春期(10代)の不正出血

☝️ドクターの目線❗

〜思春期の不正出血を、私はこう診ています〜

思春期では、ポリープ・筋腫・腺筋症・悪性疾患などによる不正出血は少なく、その本質は以下の通りと考えます。

  • 無排卵による黄体ホルモン欠乏状態。

  • エストロゲンにより増殖した子宮内膜が秩序なく破綻する。

その背景には、脳と卵巣の連携システムの未熟性があります。

ただし、出血性疾患、甲状腺異常、摂食障害・体重変動、ストレス、感染、薬剤、外傷を除外して初めて「思春期だから」と言える、という位置づけだと思います。これらを念頭に置いて診察しています。

主な原因:未熟なホルモン軸と機能性出血

思春期は、脳と卵巣を結ぶホルモン分泌の連携システムが未熟なため、周期的な排卵が起こらない無排卵周期が頻繁に見られます。

排卵がないと子宮内膜を安定させる黄体ホルモンが分泌されず、不安定になった内膜が不規則に剥がれ落ちてダラダラとした出血(破綻出血)を引き起こします 。

これは体の成熟過程で起こる生理的な現象ですが、まれにホルモン異常が隠れていることもあるため長期の出血が続く場合は検査が大切です。

検査(診断アプローチ)

  • 問診:初経年齢、月経周期、出血の様子などを詳しく聞きます 。

  • 身体診察:性交渉の経験がなければ、内診は通常行わず、必要な場合のみお腹の上からの超音波(エコー)検査で子宮や卵巣の状態を確認します 。

  • 血液検査(女性ホルモン検査など):エストロゲン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌量のチェックをします。また、出血の量が多く、長引いている場合は貧血の検査も行います。

これらの検査をすべて行うわけではなく、症状に応じて必要な検査を行います。

治療:生活指導からホルモン療法まで

  • 経過観察と生活指導:出血が軽度で貧血もなければ、バランスの取れた食事や十分な睡眠などの生活指導を行い、自然に周期が整うのを待ちます 。

  • 非ホルモン療法:出血量が多い場合は、止血剤(トラネキサム酸)や貧血に対する鉄剤を用います 。

  • ホルモン療法:月経が不順で出血が続く、量が多いなど生活への影響が大きい場合、低用量ピルや黄体ホルモンの内服薬でホルモン環境を安定させ、出血をコントロールします。これが最も標準的な治療法の一つです 。​

原因と全身状態を確認できれば、多くの場合は適切に対応できます。

薬には副作用や使用できない場合もあるため、状態に合った治療を選びます。適切に治療することで、不正出血や月経周期の改善が期待できます。

性成熟期(20代・30代)の不正出血

☝️ドクターの目線❗

〜性成熟期の不正出血を、私はこう診ています〜

20代・30代の性成熟期は、女性ホルモンの働きが比較的安定している時期です。

そのため、この年代で不正出血がある場合、単なるホルモンバランスの乱れだけでなく、いくつかの原因を考えながら診察します。

ストレス・疲れ・体重変化・排卵の乱れなどによる一時的なホルモン変化で起こることもあります。

しかし、性成熟期ではまず妊娠に関連した出血を見逃さないことが大切です。

また、クラミジアなどの性感染症、子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸がんなどの可能性も考えて診察します。

つまり、妊娠・環境の変化やストレス・感染症・子宮の病気を確認することがとても大切と考えて診察にあたります。

多様な原因:妊娠、ホルモン、器質的疾患、感染症

妊娠に関連する出血

妊娠可能年齢の女性に不正出血がある場合は、まず妊娠の可能性を確認します。

妊娠初期の出血:月経予定日前後に少量の出血がみられることがありますが、着床による出血かどうかを出血の特徴だけで判別することはできません。

切迫流産:妊娠22週未満に出血や腹痛があるものの、妊娠継続の可能性がある状態です。出血だけで、その後に流産となるかどうかを判断することはできません。

異所性妊娠(子宮外妊娠):受精卵が子宮外に着床する危険な状態で、母体の生命に関わることもあります。不正出血や下腹部痛がみられ、妊娠6〜7週ごろに症状が現れることがあります。

特徴妊娠初期にみられる出血通常の月経
時期

月経予定日の数日前〜予定日ごろに起こることが多い 

ほぼ一定の周期(24〜38日)で起こる 

ごく少量から月経程度の量まで様々。一般的には月経より少ないことが多い 

2〜3日目に多く、徐々に減少する 

期間

1〜3日程度で終わることが多いが、ダラダラ続くこともある 

3〜7日間続く 

随伴症状

軽い下腹部痛を伴うことがある。激痛の場合は異常のサイン 

生理痛を伴うことが多い 

ホルモンバランスによるもの

 排卵期の出血(中間期出血)

  • 原因:排卵の時期に起こる女性ホルモンの急な変動が原因です。子宮内膜が少しだけ剥がれて、少量の出血が起こります。

    特徴:多くは生理的な出血で、生理と生理の中間あたりに2〜3日みられることがあります。ただし、出血だけで排卵期出血と断定はできません。▶️Q2を参照

✅ 無排卵性出血

  • 原因:ストレスや環境の変化、過度なダイエットなどでホルモンバランスが乱れ、排卵がうまくいかないことで起こります。

    特徴:不正出血の中で最も多い原因の一つ。生理が長引いたり、周期がバラバラになったりします。

器質的疾患(構造的な問題)

✅ 子宮頸がん:若い世代に多く、初期は無症状

  • 主な症状:初期はほとんど症状がありません。進行すると、不正出血(特に性交渉後の出血)、茶色っぽいおりもの、水っぽいおりものが増えるなどの症状が現れます。
  • 特徴と注意点:
    • 20代~40代の若い世代での発症率が高いがんです。
    • 生理周期がある年代では、症状が出ても「生理不順かな?」と見過ごされがちです。初期段階では自覚症状がないため、定期的な「子宮頸がん検診」が非常に重要になります。

▶️ 子宮頸がんについて詳しくはこちら

子宮頸管ポリープ:良性のできもの

主な症状:性交渉の刺激や、腟の炎症などがきっかけで出血することがあります。

特徴と注意点:

子宮の入り口(子宮頸管)にできる、キノコ状の良性のできものです。

不正出血の原因として頻度が高いですが、がんとの区別のために検査することもあります。

子宮内膜ポリープ:生理が重くなる原因に

主な症状:生理の出血量が多くなる(過多月経)、生理がだらだらと長く続く(過長月経)、不正出血などがみられます。

特徴と注意点:

子宮の内側(内膜)にできるポリープです。超音波検査で発見できます。

不妊の原因になることもあり、悪性でないことを確認するために子宮内の検査(子宮体がん検査)を行うことがあります。

子宮筋腫:できる場所で症状が変わる

主な症状:特に子宮の内側に近い「粘膜下筋腫」の場合、生理の量が多くなったり、生理期間が長引いたりします。不正出血や貧血、痛みの原因になることもあります。

特徴と注意点:

子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、多くの成人女性に見られます。

筋腫ができる場所や大きさによって症状は様々で、無症状の場合も少なくありません。

性感染症と炎症

クラミジア、淋菌などの性感染症(STI)は、子宮頸管に炎症を起こし、特に性交渉後の出血(接触出血)の原因となります。無症状のことも多いため注意が必要です

トリコモナスは無症状のこともありますが、症状が出る場合には、黄白色から黄緑色のおりもの、臭い、かゆみなどがみられることがあります。

ふだん腟の中はデーデルライン杆菌という菌によって酸性に保たれ、他の病原菌の増殖を抑えています。

これを腟の自浄作用(じじょうさよう)と呼びます。腟内環境が変化すると腟炎を起こすことがあり、炎症によって出血しやすくなる場合があります。

▶️ クラミジア、淋菌などの性感染症について詳しくはこちら

検査(診断アプローチ)

  • 子宮がん検査:子宮頸がんや子宮体がんの検査を行います。不正出血の原因として生命に関わる病気ですので、チェックしておくことが大切です。
  • 超音波検査:子宮や卵巣に出血の原因となる腫瘍の有無をチェックします。

    例えば、超音波検査で排卵しないまま残った3㎝前後の卵胞を認めることがあります。この場合、排卵しなかったことが原因でホルモンバランスが崩れ不正出血を起こします。

  • おりもの検査:細菌感染により子宮の入り口(びらん部分)がただれ、性行為の刺激で出血することがあります。

  • 性感染症検査:クラミジアや淋菌やトリコモナスの感染によって、子宮の入り口(頸管部分)が炎症を起こして出血することがあります。クラミジアは不正出血の原因以外に下腹部痛や右の季肋部(右の脇腹あたり)痛の原因にもなります。また、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こした場合は不妊の原因にもなります。

  • 妊娠反応検査:性行為から2週間以上経つと尿による妊娠判定が可能です。受精卵は約2週間で子宮内膜に着床を開始します。この時期に出血することがあり、着床時出血と呼ばれています。
  • 血液検査(女性ホルモン検査など):エストロゲン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌量のチェックをします。また、出血の量が多く、長引いている場合は貧血の検査も行います。

これらの検査をすべて行うわけではなく、症状に応じて必要な検査を行います。

これらで原因が分かれば心配することはありません。

治療

■ ホルモンバランスによるもの:多くの場合は経過を見ることで自然に出血は止まります。しかし、出血期間が長い場合や出血量が多い場合は女性ホルモンの内服薬で出血を止め、その後も継続的に治療を続けます。

■ 炎症(腟炎)を起こしている場合:原因菌に効果のある抗生剤を処方します。

■腫瘍による場合:子宮頸管ポリープは簡単な処置で摘出することが可能です。悪性腫瘍と診断された場合は直ぐに病院へご紹介いたします。

■ 妊娠に関するもの:着床時の出血や妊娠初期の出血の多くは経過観察だけで出血は止まっていきますが、産科の病院での経過観察が必要です。

更年期移行期(40代から閉経前)の不正出血

☝️ドクター目線

〜更年期の不正出血を、私はこう診ています〜

更年期に入ると、卵巣機能の変化やホルモン変動から「不正出血」が起こりやすくなります。この年代では、こうしたホルモンの変化による出血も少なくありません。

しかし、私はそれだけで「更年期だから大丈夫」とは考えません。

この年代は、子宮体がんをはじめとする病気のリスクが高くなる時期でもあります。特に子宮体がんは40歳代から増え始め、50〜60歳代の閉経前後に多くみられます。国立がん研究センターの統計でも、子宮体がんの罹患率は長期的に増加傾向です。

また、子宮筋腫により過多月経となり貧血を引き起こしている場合もあります。

そのため、更年期移行期の不正出血では、

ホルモンの乱れによる出血か。子宮体がんなどの病気が隠れていないか。子宮筋腫は無いか。

これらを常に意識して診察します。

▶️[子宮体がんについて詳しくはこちら]

主な原因

ホルモンバランスによるものと悪性腫瘍

■ 正常な状態(排卵のある周期):エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが、それぞれ作用しながら子宮内膜を周期的に変化させます。

■ 問題が起きる状態(閉経前期):排卵が起こらない周期ではプロゲステロンが十分に分泌されず、子宮内膜がエストロゲンの作用を受け続ける状態になります。血中エストロゲン値が必ずしも高いという意味ではありません。

  • エストロゲン:子宮内膜を厚くする(アクセル役)
  • プロゲステロン:エストロゲンの作用を調整する(ブレーキ役)

更年期移行期では、無排卵に伴い、子宮内膜に対するプロゲステロンの作用が不足して出血することがあります。エストロゲンの内膜増殖作用に対する抑制が十分に働かない状態が長く続くと、子宮内膜に病的変化が起こることがあります。主な病的変化は次の2つです。

  • 子宮内膜増殖症:ホルモンバランスの乱れなどにより子宮内膜が過剰に増殖する病気で、不正出血が主な症状です。異型を伴わないものと、前がん病変に相当する子宮内膜異型増殖症(EIN/AEH)があり、治療は異型の有無、年齢、妊娠希望などによって異なります。
  • 子宮体がん:子宮内膜から発生するがんで、40代後半からリスクが上昇します。不正出血は重要な症状で、特に閉経後出血は代表的な初発症状です。少量でも自己判断せず、検査を受けることが大切です。

 

⚠️ 子宮体がんの主なリスク因子

肥満 

妊娠・出産経験がない、または少ない 

閉経が遅い 

月経不順(特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の既往) 

糖尿病、高血圧 

乳がん治療薬(タモキシフェン)の服用歴 

器質的疾患(構造的な問題)

✅ 子宮頸がん:若い世代に多いが、更年期にも認められることがある

  • 主な症状:初期はほとんど症状がありません。進行すると、不正出血(特に性交渉後の出血)、茶色っぽいおりもの、水っぽいおりものが増えるなどの症状が現れます。
  • 特徴と注意点:
    • 20代~40代の若い世代での発症率が高いがんですが、更年期にも認められます。

✅ 子宮頚管ポリープ:良性のできもの

  • 主な症状:性交渉の刺激や、腟の炎症などがきっかけで出血することがあります。
  • 特徴と注意点:
    • 子宮の入り口(子宮頸管)にできる、キノコ状の良性のできものです。
    • 不正出血の原因として頻度が高いですが、がんとの区別のために検査することもあります。

✅ 子宮内膜ポリープ:生理が重くなる原因に

  • 主な症状:生理の出血量が多くなる(過多月経)、生理がだらだらと長く続く(過長月経)、不正出血などがみられます。
  • 特徴と注意点:
    • 子宮の内側(内膜)にできるポリープです。超音波検査で発見できます。
    • 悪性でないことを確認するために子宮内の検査(子宮体がん検査)を行うことがあります。

✅ 子宮筋腫:できる場所で症状が変わる

  • 主な症状:特に子宮の内側に近い「粘膜下筋腫」の場合、生理の量が多くなったり、生理期間が長引いたりします。不正出血や貧血、痛みの原因になることもあります。
  • 特徴と注意点:
    • 子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、多くの成人女性に見られます。
    • 筋腫ができる場所や大きさによって症状は様々で、無症状の場合も少なくありません。

検査(診断アプローチ)

  • 子宮がん検査:子宮頸がんや子宮体がんの検査を行います。不正出血の原因として生命に関わる病気ですので、チェックしておくことが大切です。
  • 超音波検査:子宮や卵巣に出血の原因となる腫瘍の有無をチェックします。 超音波で排卵前後の所見や卵巣の状態を確認し、月経周期や必要に応じたホルモン検査などと合わせて排卵障害の可能性を判断します。超音波所見だけで不正出血の原因を断定することはできません。
  • 血液検査(女性ホルモン検査など):エストロゲン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌量のチェックをします。また、出血の量が多く、長引いている場合は貧血の検査も行います。

これらの検査をすべて行うわけではなく、症状に応じて必要な検査を行います。

治療

  • ホルモンバランスによるもの:
  1. 多くの場合は、経過観察のみで自然に出血は止まります。
  2. 出血が長引く・多い場合の治療:止血剤や女性ホルモンの内服薬を使用して出血を止め、その後も継続的に治療を行います。
  3. IUS(子宮内システム)の使用:子宮内に「ミレーナ」と呼ばれるT字型の子宮内システムを装着し、子宮内で放出される黄体ホルモンによって子宮内膜の増殖を抑え、出血を減らす効果が期待できます。適応は、原因や検査結果に応じて判断します。
  • 炎症(腟炎)を起こしている場合:原因に応じた抗菌薬などを処方します。
  • 腫瘍による場合:子宮頸管ポリープは簡単な処置で摘出することが可能です。悪性腫瘍と診断された場合はすぐに病院へご紹介いたします。

閉経以降の不正出血

☝️ドクター目線❗

〜閉経後の不正出血を、私はこう診ています〜

閉経後、つまり最後の月経から1年以上たった後に出血があった場合、それは「閉経後出血」と呼ばれます。

閉経後は、本来なら月経による出血は起こらない時期です。

そのため、まず確認したいのは、

どこから出血しているのか(尿道や肛門からのこともあります)
子宮体がんなどの病気が隠れていないか

という点です。

原因としては、腟や子宮の入り口の萎縮、ポリープ、炎症など、良性のことが多い。

しかし、閉経後出血は子宮体がんの重要なサインになることがあります。

そのため、「少しだけだから大丈夫」「すぐ止まったから平気」とは考えず、必要に応じて超音波検査や子宮内膜の検査などを行い、慎重に判断します。

▶️[子宮体がんについて詳しくはこちら]

一般的な原因

閉経後出血で最も頻度が高い原因は、女性ホルモンの欠乏で腟粘膜が薄く弱くなる萎縮性腟炎です。

海外のシステマティックレビューでは、閉経後出血のある女性で子宮体がんが認められた割合は統合値9%(95%信頼区間8〜11%)でした。

ただし、年齢やホルモン療法の使用などによって割合は異なるため、がんを除外することが診察の重要な目的となります。

検査(診断アプローチ)

  • おりもの検査細菌感染により腟の中ががただれ、少しの刺激で出血することがあります。
  • 子宮がん検査:子宮頸がんや子宮体がんの検査を行います。不正出血の原因として生命に関わる病気ですので、チェックしておくことが大切です。
  • 超音波検査:子宮や卵巣に出血の原因となる腫瘍の有無をチェックします。

これらの検査をすべて行うわけではなく、症状に応じて必要な検査を行います。

治療

  • 萎縮性腟炎:ごく低用量のエストロゲンが含まれた腟錠を局所的に使用する治療が効果的です。
  • 子宮体がん:標準治療は手術で、子宮および両側付属器(卵巣・卵管)の摘出を基本としますが、病期や全身状態などによって治療は異なります。その場合は病院をご紹介いたします。

不正出血に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 不正出血とは、具体的にどのような状態を指しますか?

A1.生理(月経)の時期以外に、性器から出血することを言います。 真っ赤な出血(鮮血)だけでなく、茶色っぽい出血や、下着に少しつく程度の点状の出血も不正出血に含まれます。また、普段よりも生理の期間がダラダラと長引く状態もその一種です。

Q2. 生理と生理の間に数日出血があります。排卵期の出血ですか?

A2.排卵期の出血(生理的なもの)の可能性はありますが、出血の時期だけで判断することはできません。排卵から次の月経までの期間は一般に約2週間ですが、個人差や周期差があります。

  • 見分け方の目安:出血が数日で収まり、その後に通常の月経が来る場合は、排卵期出血の可能性があります。
  • 理由は? 排卵後から次の月経までの黄体期は、月経前半の卵胞期より変動が小さい傾向がありますが、だれでも一律14日間と決まっているわけではありません。

⚠️ 注意 出血がだらだらと長引く場合は、別の原因(婦人科系の病気など)も考えられます。念のため病院を受診してください。

Q3. 不正出血で受診した場合、具体的にどのような検査を行いますか?痛みはありますか?

A3.主に以下のような、原因を特定するための診察・検査を段階的に行います。

  • 内診・クスコ診:腟の中に器具(腟鏡)を入れ、子宮頸部のただれ、ポリープ、感染症による炎症、出血がどこから起こっているかを直接目で確認します。性交経験のない方には通常行わず、必要性を確認して診察方法を選びます。
  • 経腟超音波(エコー)検査:細い棒状の器具を腟内に入れ、子宮の大きさ、子宮筋腫や内膜ポリープの有無、卵巣の腫れなどを画像で確認します。性交経験のない方には基本的に行わず、必要に応じてお腹の上からの超音波検査などを選びます。
  • 子宮がん検査(細胞診・組織検査):年齢、症状、リスク因子などに応じて、子宮頸部や子宮内膜の細胞・組織を採取します。性交経験のない方では、必要性を慎重に判断して検査方法を選びます。
  • 血液検査: 貧血の有無や、ホルモンバランスの状態を調べます。

※内診やエコー検査の痛みの感じ方には個人差があります。リラックスして下腹部の力を抜いていただくと、ほとんど痛みを感じずに受診いただけますが、痛みが心配な方は、検査前に遠慮なくお伝えください。

Q4.  半年前に子宮がん検診で「異常なし」と言われたばかりです。それでも不正出血があれば受診すべきですか?

A4. はい、検診直後であっても受診が必要です。

がん検診で異常がなくても、子宮内膜ポリープや子宮筋腫、あるいはストレスによるホルモンバランスの乱れ(機能性出血)など、がん以外の原因で出血している可能性が十分にあります。

また、一般的な住民検診などは「子宮頸がん」のみを対象としていることが多く、子宮体がん、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫などは子宮頸がん検診だけでは分かりません。不正出血があれば、検診から間もない場合でも自己判断せずにご相談ください。

Q5. 閉経した後の出血ですが、少量であれば様子を見て大丈夫ですか?

A5. いいえ、閉経後(最後の生理から1年以上経過)の出血は、少量で一度だけでも早めに婦人科で評価を受けてください。

最も頻度が高いのは、女性ホルモンの欠乏で腟の粘膜が薄くなる「萎縮性腟炎」です。一方、海外のシステマティックレビューでは、閉経後出血のある女性で子宮体がんが認められた割合は統合値9%(95%信頼区間8〜11%)でした。

がんなどの重大な病気を除外するため、年齢、出血の状態、超音波所見、リスク因子などに応じて必要な検査を行います。

Q6. 不正出血が続いている間、入浴や運動、性交渉は控えた方がいいですか?

A6.出血量や体調に応じて、次の点に注意してお過ごしください。

  • 入浴:少量の出血で体調がよければ、通常の入浴は可能です。出血量が多い、強い腹痛や発熱がある、処置や手術の直後などの場合は、医師の指示に従ってください。
  • 運動:少量の出血で体調がよければ、日常的な軽い運動まで一律に控える必要はありません。運動で出血が増える、痛み、めまいなどがある場合は中止してください。
  • 性交渉:性交後に出血する、出血が続いている、痛みや感染症を疑う症状がある場合は、原因を確認するまで控えることをおすすめします。
Q7. 受診する際に、あらかじめ準備しておくと良いことはありますか?

A7. 診察がスムーズになりますので、以下の内容をメモ等にまとめてお伝えください。

  • 一番最近の生理が始まった日(最終月経開始日)

  • 普段の生理周期と、生理が続く日数

  • 不正出血の詳細(いつから始まったか、量、色、血液の状態など)

  • 随伴症状(腹痛、腰痛、発熱、おりものの変化など)

  • 最近の性交渉の有無(性交時の痛みや出血があったか)

  • これまでの病歴や、現在服用中の薬(ピルなど)

この記事の執筆・監修

入江 琢也   

アイレディースクリニック新横浜 院長

医学博士(慶應義塾大学)/日本産科婦人科学会 専門医/日本臨床細胞学会 細胞診専門医

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