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子宮内膜症の診断までに平均して6.7年かかったと報告した有名な医学論文があります。
この論文は子宮内膜症の診断の遅れを示す象徴的なデータとして、多くの論文や記事で引用されています。
以下にその論文の詳細を解説します。
この「平均6.7年」という診断の遅れのデータは、世界子宮内膜症研究財団(World Endometriosis Research Foundation, WERF)が主導した国際的な大規模研究で報告されたものです。
論文タイトル: "Impact of endometriosis on quality of life and work productivity: a multicenter study across ten countries" (子宮内膜症が生活の質と労働生産性に与える影響:10カ国にわたる多施設共同研究)
筆頭著者: Kelechi E. Nnoaham
掲載雑誌: Fertility and Sterility (不妊治療と生殖医療に関する権威ある医学雑誌)
発表年: 2011年
この研究は、世界10カ国(オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イギリス、アメリカ)のセンターで、子宮内膜症と診断された18歳から45歳の女性1,418人を対象に行われました。
子宮内膜症の症状が初めて現れてから、最終的に診断が確定するまでの期間(診断の遅れ)と、その遅れが女性の生活の質(QOL)や仕事の生産性にどのような影響を与えるかを調査することでした。
診断までの平均期間: 症状が始まってから診断が確定するまでの期間は、平均で6.7年でした。
診断の遅れの内訳: この遅れは、主にプライマリケア医(かかりつけ医など)から婦人科専門医への紹介が遅れることによるものでした。女性は専門医に紹介されるまでに平均で7回、医療機関を受診していたと報告されています。
生活の質への影響: 診断が遅れることで、慢性的な痛み、精神的なストレス、そして生活の質の低下が長引くことが示唆されました。
この論文は、子宮内膜症の診断の遅れが特定の国や地域だけの問題ではなく、世界共通の深刻な課題であることを大規模なデータで明確に示した点で非常に重要です。
「6.7年」という具体的な数字は、多くの医療関係者、研究者、そして患者自身に衝撃を与え、診断の遅れを改善するための啓発活動や研究を加速させるきっかけとなりました。
この論文以外にも、世界各国で診断の遅れに関する研究が行われており、国や地域によって差はありますが、多くが7年から10年程度の長い遅れを報告しています。例えば、イギリスでは平均8年、アメリカではそれ以上かかるという報告もあります。
これらの研究は共通して、月経痛を「正常なもの」と見過ごしてしまう社会的風潮や、症状の多様性、非侵襲的な確定診断方法がないことなどが、診断を遅らせる要因であると指摘しています。
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