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子宮体がん

子宮体がんとは?
更年期の不正出血に潜むサインと原因

「閉経したはずなのに出血がある」「生理ではないのに、おりものに血が混じる」そうした不正出血は、年齢的なホルモンバランスの乱れだと思い込まれがちです。しかし、その陰に近年急増している「子宮体がん(子宮内膜がん)」が隠れていることがあります。このページでは、子宮体がんの初期症状・原因・検査の流れ・受診の目安までを、できるだけわかりやすく解説します

不正出血で困惑する中年女性

このページの結論

  1. 子宮体がんの最も重要なサインは「不正出血」。患者さんの約9割に出血の症状がみられます。
  2. 40代後半〜60代(閉経前後)に最も多く、近年、日本で急増しています。
  3. 早期発見できれば治りやすいがんです(5年相対生存率は約8割)。

更年期や閉経後に1回でも予期せぬ出血があれば、迷わず婦人科を受診してください。

まず押さえたい|こんな症状があれば婦人科へ

次のような症状は、子宮体がんを含めた病気のサインである可能性があります。ひとつでも当てはまる場合は、念のため婦人科の受診をおすすめします。

  1. 閉経後なのに出血した/おりものに血が混じる
  2. 月経ではないタイミングで出血する(不正出血)
  3. 性交のあとに出血する
  4. 茶色いおりものや、少量の出血がダラダラと長く続く
  5. 水っぽい・膿のようなおりものが増えた
  6. 下腹部の痛みや圧迫感が続く

「更年期だから」「検診を受けているから」が一番危険です

自己判断による様子見が、発見を遅らせる最大の原因です。また、市町村の「子宮がん検診」の多くは子宮頸がんの検査で、子宮体がんは見つけられないことをご存じない方が少なくありません。

子宮体がんとは?(基礎知識)

子宮がんには、子宮の入り口(頸部)にできる「子宮頸(けい)がん」と、子宮の奥にある袋状の部分(体部)の内側=子宮内膜から発生する「子宮体(たい)がん」の2種類があります。

子宮体がんは子宮内膜から生じるため、「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。 若い世代に多い子宮頸がんに対し、子宮体がんは40歳代後半から増加し、5060歳代の閉経前後で最も多くなるのが特徴です。近年、日本の成人女性で急速に罹患者数が増えており、注意が必要ながんです。

子宮頸がんと子宮体がんの違い

項目

子宮頸がん

子宮体がん

できる場所

子宮の入り口(頸部)

子宮の奥・子宮内膜(体部)

多い年代

2040代に多い

40代後半〜60代(閉経前後)に多い

主な原因

HPV(ヒトパピローマウイルス)感染

エストロゲンの長期刺激・肥満など

主な初期症状

初期は無症状のことが多い

不正出血(早い段階から出やすい)

検診

市町村の「子宮がん検診」で実施されることが多い

別に「子宮体がん検査(内膜細胞診)」が必要

【最重要】子宮体がんの初期症状

子宮体がんで最も重要な初期症状は「不正出血」です。米国疾病対策センター(CDC)の調査では、子宮体がんと診断された患者さんの10人中9人(約90%に、次のような出血の症状が認められたと報告されています。

  1. 月経と月経の間にみられる少量の出血
  2. 性交のあとの出血
  3. 閉経後の予期しない出血

「すぐ治るだろう」「更年期だから仕方ない」と自己判断せず、こうした症状がみられたら早めに受診しましょう。出血以外に、水っぽい・血の混じったおりもの、下腹部の痛みなどがあらわれることもあります。

状態別でわかる|不正出血の特徴と考えられる原因

不正出血と一口に言っても、その状態はさまざまです。検索されることの多い「出血の特徴」別に、考えられる主な原因を整理しました。

 

出血の状態

感じやすい不安

考えられる主な原因

鮮血(真っ赤な血)

「がんの可能性は?」という強い不安

子宮体がん・子宮頸がん、子宮頸管ポリープ、萎縮性腟炎 など

茶色い出血

「古い血?放置していい?」という疑問

ホルモンバランスの乱れ、子宮体がんの初期症状 など

ダラダラ続く出血

「いつまで続くの?」という不安

機能性出血、子宮内膜増殖症、子宮体がん など

 

鮮血(真っ赤な血)が出る場合:現在進行形で出血している可能性があります。良性のポリープや萎縮性腟炎のこともありますが、子宮体がん・子宮頸がんの可能性も否定できないため、早めの受診が必要です。

茶色い出血(おりもののような血)が続く場合:出血から少し時間が経ち、古い血液が排出されている状態です。更年期のホルモンの乱れで起こることも多いですが、ダラダラ続く場合は子宮体がんの初期症状の可能性が潜んでいます。

ダラダラと少量の出血が長く続く場合:機能性出血のこともありますが、子宮内膜増殖症(体がんの前段階)や子宮体がんが原因で出血が止まらなくなっているケースもあります。長引く出血は決して放置しないでください。

子宮体がんは今、急増しています(罹患率の推移)

子宮体がんは、現在アメリカでも日本でも罹患率が増加傾向にあります。日本国内では、2005年から2015年までの10年間で罹患率が約2に上昇しました。

日本女性の子宮体がん罹患者数と死亡者数の推移グラフ

子宮頸がん・子宮体がん罹患者数・死亡者数の推移(資料:国立がん研究センター がん対策情報センター)

昔と今で逆転|いま増えているのは「子宮体がん」

かつて(197080年代)は、子宮がんといえば子宮頸がんが大多数でした。しかし1990年代後半から子宮体がんが急増し、現在では新たに診断される子宮がんの多くを子宮体がんが占めるようになっています。子宮頸がんがワクチンや検診の普及で長期的に減少傾向にある一方、子宮体がんは罹患する人の増加に伴い、死亡数も増え続けています。

⚠️ 順調に減少していた子宮頸がんの罹患率が、2015年を底にして再び明確な上昇に転じています(2015年 5.9 → 2024年 10.5)。

子宮体がんになりやすい人(リスク要因)

子宮体がんは、女性ホルモンの「エストロゲン」が子宮内膜を刺激し続けることで発生しやすくなる「エストロゲン依存性」のがんが大半を占めます。そのため、エストロゲンの刺激が長く続く人ほどリスクが高まります。

最大のリスクは「肥満」

肥満は子宮体がんの代表的なリスク要因です。CDCの報告でも、肥満が大きなリスク要因であることが示されています。過体重・肥満の女性は、適正体重の女性に比べて子宮体がんの罹患リスクが24にもなるといわれています。

なぜ太るとリスクが上がるの?(やさしい解説)

閉経すると卵巣からのエストロゲン分泌は減りますが、脂肪組織には男性ホルモンを女性ホルモン(エストロゲン)に変換する「アロマターゼ」という酵素があります。脂肪が多いほどこの働きが活発になり、閉経後でもエストロゲンがつくられ続けます。

閉経後は子宮内膜の増殖を抑えるプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されないため、エストロゲンの単独刺激が長く続き、子宮内膜増殖症から子宮体がんへと進むリスクが高まります。

そのほかのリスク要因

次のような方も、相対的にリスクが高いと考えられています。

  1. 出産の経験がない(妊娠・出産中はエストロゲン刺激が一時的に止まるため)
  2. 月経不順・無排卵の傾向がある(排卵がないとプロゲステロンが出にくい)
  3. 初経が早い/閉経が遅い
  4. 肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病がある
  5. 食生活の欧米化(高脂肪・高カロリー食)
  6. 乳がんの治療などでホルモン剤(タモキシフェンなど)を使用している
  7. 近親者に子宮体がん・大腸がんの方がいる(遺伝的素因/リンチ症候群など)

リスク要因があっても必ず発症するわけではなく、逆に要因が少ない方でも発症することがあります。気になる症状があるときは、年齢やリスクにかかわらず受診をご検討ください。

子宮体がんの2つのタイプ(I型・II型)

子宮体がんは、発生のメカニズムによって大きく2つのタイプに分けられます。

大半を占めるI型は、肥満などによるエストロゲンの長期刺激が背景にあるため、生活習慣の影響を受けやすいタイプといえます。

タイプ

割合

特徴

I型(エストロゲン依存性)

全体の

8090%

エストロゲンの過剰な刺激が原因。子宮内膜異型増殖症という前がん病変を経て進行する。比較的若い年代にもみられ、II型より予後が良い傾向。

II型(エストロゲン非依存性/デノボ発生)

全体の

1020%

前がん病変を経ずに発生(デノボ発生)。主に高齢者に多く、遺伝子の損傷が関与。漿液性がん・明細胞がんなどが含まれ、I型より進行が早い傾向。

なぜ更年期は発見が遅れやすいのか

40代後半から50代は、ちょうど更年期にあたり、自然な生理不順や不正出血が増える時期と重なります。そのため、「更年期によるホルモン的な出血」なのか「子宮体がんによる出血」なのかを、症状だけで見分けることは非常に困難です。これが、更年期世代で子宮体がんの発見が遅れてしまう最大の要因です。だからこそ、自己判断で様子を見続けず、一度きちんと検査を受けることが大切です。

子宮体がんの検査は痛い?検査の流れ(当院の方針)

婦人科の受診や検査に、心理的なハードルや「痛そう」という不安を感じる方は少なくありません。アイレディースクリニック新横浜では、患者様の痛みや不安に最大限配慮しながら検査を行っています。

検査の流れ

1. 問診:症状(出血の状態・時期)、月経や閉経の状況、既往歴などをお聞きします。

2. 経腟超音波(エコー)検査:子宮内膜の厚さや、子宮・卵巣の状態を画像で確認します。数分で終わり、痛みもほとんどありません。

3. 子宮体がん検査(内膜細胞診/組織診):必要に応じて、子宮の奥(内膜)の細胞を採取して調べます。

4. 追加の検査:血液検査やMRIなどの画像検査を検討します。

検査の痛みへの配慮

子宮体がんの検査(内膜細胞診)は、子宮の奥の細胞を採取するため、軽い生理痛のような鈍い痛みを感じることがありますが、短時間で終了します。

当院では、検査前の説明や検査中のお声がけ、リラックスして受けていただけるため、希望があればナースが検査中によりそい、できる限り負担の少ない検査を心がけています。不安な点は、検査の前に遠慮なくご相談ください。

ホルモン補充療法(HRT)中の出血について

更年期障害の治療としてホルモン補充療法(HRT)を行っている最中に起こる出血についても、当院で適切に評価・対応します。HRT中の出血は心配な場合も多いので、自己判断で中断せず、まずはご相談ください。

よくある質問(FAQ

Q. 子宮体がんの検査は痛いですか?

A. 子宮の奥の細胞を採取するため、軽い生理痛のような鈍い痛みを感じることがありますが、短時間で終わります。当院では痛みや不安に配慮して検査を行っています。

Q. 閉経しているのに出血しました。すぐ受診すべき?

A. はい。閉経後の出血は子宮体がんの重要なサインのことがあります。少量でも、1回でもあれば早めに受診してください。

Q. 市町村のがん検診を受けていれば子宮体がんも安心ですか?

A. いいえ。市町村の子宮がん検診の多くは子宮頸がんの検査で、子宮体がんは見つけられないことがほとんどです。気になる症状があるときは、別に体がんの検査が必要です。

Q. 茶色いおりもの(出血)が続いています。様子を見ても大丈夫?

A. 更年期のホルモンの乱れによることも多いですが、ダラダラ続く場合は子宮体がんの初期症状の可能性もあります。長引く場合は受診をおすすめします。

Q. 太っていると子宮体がんになりやすいというのは本当ですか?

A. 本当です。脂肪組織でエストロゲンがつくられ、子宮内膜が刺激され続けるため、過体重・肥満の方はリスクが24倍になるとされています。

Q. 子宮体がんは治りますか?

A. 早期に発見できれば治りやすいがんです。全体の5年相対生存率は約8割と報告されており、早期発見・早期治療が何よりも大切です。

Q. 子宮頸がんワクチンを打てば子宮体がんも防げますか?

A. いいえ。HPVワクチンは子宮頸がんの予防が目的で、子宮体がんの予防にはなりません。子宮体がんは出血などの症状に早く気づき、検査を受けることが大切です。